[新拒絶の通知と期間] . . . 借家契約の期間満了前の更新拒絶の通知が法定期間を尊守しなかった場合でも解約申し入れと同様の処理を認めた事案
Xは、その所有の建物を昭和55年6月30日、Yに対し、契約期間は昭和55年6月12日から昭和57年6月13日まで、賃料月額金8万5000円、敷金17万円で賃貸した。
その後、XとYは昭和61年8月頃に賃料を月額9万円に改定し、契約期間を昭和63年6月13日まで更新した。
しかし、Xは、その家族と共に夫の勤務先の社宅に居住していたが、その夫は昭和62年1月1日に退職し、6ヶ月後の昭和62年6月30日までに社宅を立ち退くように命じられている。
そのため、Xは昭和62年6月15日にYに対し、この賃貸借契約の更新拒絶を通知し、その通知がYに届いた。
Xの事情は、夫と息子2人を含む4人家族、夫は退職後、関係子会社に再就職しているが、収入は、それ以前よりも減少し、息子らは独身で、1人は学生であり、X自身は身体に障害を有している状況でもあった。
一方、Yの事情は、Yの妻とその息子を含む3人家族であり、Yは、70歳と高齢で、ホテルのマネージャーとして働いており、あまり収入も多くはなく、息子は、やや病気の状況で、他に持ち家などがない。
こうした状況の下でYは、立ち退きを拒否したため、XはYに対して建物明け渡し請求訴訟を提起するに至った。
この訴訟でXは、Yに対し、建物賃貸借の更新拒絶の正当事由があると主張して明け渡しを求めた。 そして、予備的に、裁判の第3口頭弁論期日である昭和62年12月17日に更新拒絶の正当事由を保管する立ち退き料として金300万円を提供する旨申し出た。場合により裁判所の決定する金額を支払うとの趣旨でもあった。
これに対しYは、更新拒絶の正当事由を争い明け渡しを拒否し続けた。 第一審(大森簡易裁判所平成元年2月9日判決)は、Yの主張をいれ、Xの更新拒絶の正当事由を否定し、請求を棄却した。しかし、Xは、これに不服として控訴した。
判決の要旨(東京地裁平成元年11月28日判決):Xの請求一部容認、一部棄却(確定)。