法律知識

[**に相続させるという遺言書] . . . 有遺言書の中に特定の遺産を**に相続させるとの遺言をした場合、その遺産はいつ継承されるか?

A女には、夫Y1と長女Y2、二女X1とその夫X2並びに三女X3が関係者として存在していた。
A女は、生前に土地(1)から(7)を購入し、また土地(8)については、共有持分4分の1を取得していた。 A女は、生前に自筆証書遺言で次のような遺言を行った。
昭和58年2月11日付けで(3)から(6)の土地について「X1X2一家の相続とする」との遺言をした。
昭和58年2月19日付けで(1)(2)の土地について「X1の相続とする」との遺言をした。
昭和59年7月1日付で(7)の土地について「X2に譲る」との遺言をした。
昭和59年7月1日付で(8)の土地の共有部分4分の1について「X3に相続させて下さい」との遺言をした。 そして、A女は、昭和61年4月3日死亡した。
その結果、A女の夫Y1と長女Y2が土地(1)から(8)の承継から除外された。 A女の、これらの遺言書は、昭和61年6月23日、東京家庭裁判所において検証手続きを経たがY1,Y2らは、この遺言の作成事態を争うと共に、土地(1)から(8)に関するX1X2X3の権利取得を争った。 そこで、X1X2X3は、Y1Y2を相手に土地(1)から(8)の所有権X1は(1)から(6)X2は(7)X3は(8)についての共有部分を取得したことの確認を求めて訴訟を提起した。
第一審判決(東京地裁昭和62年11月18日)はA女の自筆証書の有効性を肯定した上で、遺言の趣旨を次のように解した。 A女の相続人ではないX2に対する遺言は、遺贈であると解し、X2は、土地(7)の所有権を取得したことを認めた。
A女の相続人であるX1X3に対する遺言は、遺産分割方法の指定と解するのが相応であるとし、そのためX1X3は遺言によって、直ちに(1)から(6)及び(8)の権利を取得するのではなく、遺産分割の手続きで、遺言の趣旨に従った分割が実施されることにより、はじめた相続開始時にさかのぼって権利帰属が具体的に確定されるのであり、それまでは遺産共有の状態にあるにとどまるとした。 そして、X1X3の請求に対し、X1X3が法定相続分として持つ共有持分のX1は(1)から(6)について各6分の1、X3は「8」についてA女が有した4分の1の共有部分の6分の1で認め、その余の請求を棄却した。X1とX3が控訴した。
第2審判決(東京高裁昭和63年7月11日)は、第一審判決を、一部変更した。 この判決もA女の自筆証書遺言の有効性を認めた上で、遺言の趣旨につき、次のように判断した。
A女の相続人ではないX2に対する遺言は、第一審同様、遺贈であると解し、X2は、土地(7)を本件遺言の効力が発生した昭和61年4月3日(A女の死亡)に取得したと判断した。
A女の相続人であるX1X3に対する遺言については、遺贈であるとみるか、遺産分割方法の指定と見るかの問題は、被相続人の意志解釈の問題であるとしながらも、2者両立の途があるのであれば、望ましいのは、遺産分割方法の指定と解すべき事になると考え、遺産分割方法の指定と判断した。ただし、第一審と異なり、X1X3が土地(1)から(6)、(8)について、優先権(遺産分割協議にあたり、遺言に基づく遺産の指定を受ける)を主張した時点で分割協議の成立の時点と解釈し、その結果、相続時にさかのぼって、その遺産を取得するとの解釈を示した。 そして、X1について、土地(1)、(2)の所有権と土地(3)から(6)の2分の1共有持分(残り半分は、X3の共有と思料される)、X3についての土地(8)のA女の持分全部分の取得を認めた。Y2が、X1に対して上告した。
判決の要旨 (最高裁平成3年4月19日第2小法廷判決)上告棄却。