不動産用語

下駄敷き住宅

[か行]

主としてマンションにおいて、1階や2階部分が店舗やガレージ等の用途に使われており、その上層階が住宅となっているものをいう。
住宅と店舗等が一棟の建物内に存在することである。下駄敷きマンションということもある。店舗の入口と住宅の入口とが分けられる場合とそうでない場合があるが、中古マンションの評価においては、管理に関して積極的に評価されるとはいえない。

減価修正

[か行]

減価修正は、対象不動産の再調達原価から減価の要因に基づく減価額を控除することである。
したがって、価格時点における対象不動産の積算価格を求めるためのものであるので、取得価格の期間配分を目的とする企業会計の減価償却とはその目的を異にする。
また、減価修正を行うにあたっては、減価の要因に着目して対象不動産を部分的、かつ、総合的に分析検討し、減価額を求めなければならない。減価要因は物理的要因、機能的要因、および経済的要因に分けられる。
しかし、物理的な破損が重大な機能上の欠陥を引き起こすというように、物理的減価が機能的減価を惹起する等、これらの要因は相互に関連し、影響を与え合いながら作用するものである。

減価償却費

[か行]

減価償却とは、減価償却資産の使用または時の経過により減耗する部分について、その減耗損を一定の方法に従って費用化することである。
償却方法の代表的なものに定額法と定率法があり、所得税法においては定額法が法定化されているほか、届け出ることにより定率法を採用できる。
このほか、特別償却と割増償却もある。事業所得または不動産所得の計算にあたり、控除する必要経費には、事業用資産に係る固定資産税、火災保険料、減価償却資産に係る減価償却費、事業用借入金の支払利子、その他収入を得るための経費が含まれる。

原価法

[か行]

不動産鑑定評価の3方式のひとつ。
不動産の価格を求める手法で価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格(積算価格)を求めるものである。原価法は再調達原価の把握、および減価修正を適正に行いうる場合は有効であり、土地についても、再調達原価を求めうる造成地、埋立地等の場合はこの手法を適用できる。
しかし、既成市街地における土地のように、再調達原価を把握できな場合は、この手法の適用は困難である。

現実の引渡し(現実の占有移転)

[か行]

物に対する実力的な支配を、一方の甲から他方の乙に実際に移動させることをいう。
占有権の譲渡の基本的な方法であり、他の便宜的な方法、すなわち
・甲が所有し、乙またはその代理人丙が占有する物を甲から乙に売る場合のような「簡易の引渡し」、
・ 甲が所有占有する物を乙に売り、そのまま甲が占有している場合のような「占有改定」、
・甲が所有しその代理人丙が占有している物を乙に売り、そのまま丙に占有させる場合のような「指図による占有移転」の3つの方法に対するものである。
現実の引渡し方法は、引き渡す財産の種類、占有の態様によって異なり、動産の場合には場所的移動、不動産では利用とか管理が移されることによって行われる。

原状回復(賃貸住宅等退去時)

[か行]

民法616条(598条準用)の規定によれば、賃借人は目的物を「原状に回復してこれに付属せしめたる物を収去する権利」を有するとされているが、これは解釈によって、賃借人が付属させた物を取り除いて返還する義務があるとされている。
賃貸借契約においては、これらをもとに賃借人の原状回復義務を規定しているものが多いが、原状回復といっても、借りた当時の状態にする必要はなく、賃借人が契約により定められた使用方法に従い、かつ、社会通念上通常の使用をしていれば、借りた当時の状態よりも悪くなっていたとしても、そのまま賃貸人に返還すればよいとするが、学説・判例の考え方である。
最近、特に賃貸住宅退去時の原状回復について、その範囲、費用負担をめぐってトラブルが増加していることに鑑み、(財)不動産適正取引推進機構においては、建設省の委託に基づき検討を行い、平成10年3月に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公表した。