不動産用語

工業団地造成事業

[か行]

首都圏、近畿圏の近郊整備地帯、または都市開発区域内において行われる造成工場等の敷地の造成、およびその敷地と併せて整備されるべき公共施設等の敷地の造成またはそれらの施設の整備に関する事業、並びにそれに付帯する事業をいう。
首都圏および近畿圏に計画的に工業都市を発展させ、都市機能の分散を図ることを目的としてしいる。都計法上は市街地開発事業のひとつであり、都市計画で決定しなければ事業を施行できない。
事業の施行者は、地方公共団体、住宅・都市整備公団、または地域振興整備公団とされている。

甲区・乙区

[か行]

不動産登記簿の登記用紙で、権利関係を公示するものをいう。
甲区・乙区の登記用紙には、各々順位番号欄と事項欄が設けられ、甲区の事項欄には所有権に関する事項(所有権の保存・移転・処分制限等)が、乙区の事項欄には所有権以外の権利に関する事項(地上権等の用益権、抵当権等の担保権)が記載される。順位番号欄には、各々の事項欄の登記事項の記載順序が記載される。
なお、所有権以外の権利の登記がない不動産については、乙区の登記用紙が設けられない。また、表題部のみで甲区の登記用紙も設けられていない登記簿もある 。

広告の開始時期の制限

[か行]

マンション分譲や造成宅地の分譲においては、いわゆる青田売りを行なうことが多いのですが、このような場合には、それに先立って広告が行なわれることになります。
しかし、広告を開始する時点においては、販売の目的となる物件は、まだ山林や農地であったり、マンション分譲の場合には、建物はなく更地のままということになります。したがって、その広告は通常、出来上がりの形を図面あるいは模型などで示して行なわれます。
しかし、広告で表示した通りの物件が、現実に完成して購入者の手元に入る保証はなく、実際は購入者が業者を信用して取引がされるのが普通です。このため、広告で表示していたものと現実に出来上がったものとの間に、途中で大幅な設計変更などがあって、大きな差が生じてくると当事者間の紛争の原因となることが多いです。このような事態をできるだけ防止するため、青田売りにおける広告活動の開始時期について、一定の制限を加えることとしています。つまり、宅地建物取引業者が未完成の宅地や建物について売買などの広告をしようとする場合には、取引物件である宅地や建物について行なう造成工事や建築工事に関して必要な一定の許可等を受けてからでなければ、広告を開始してはならないというものです。
未完成物件ではなくて、既に完成している宅地や建物については、売買までの間にさらに工事を行なわないので、大幅な設計変更を生じたる余地がなく、この規制の対象とはされていません。
開始時期は、都市計画法29条の許可、建築基準法6条1項の確認その他法令にもとづく許可等の処分で政令で定めるものがあった後でなければならない開発許可、建築確認などがあったということは、行政庁によって事業の実施のための計画が一応容認されたことを意味し、これらの処分があれば、将来、少なくとも公法上の制限によって、大幅な設計変更を余儀なくされるということはまずないと考えられるので、青田売りそのものを一応認めるのならば、広告などの開始時期としてはこのような時点を選ぶことがもっとも適切であるとされたものです。
なお、この制限に違反した業者に対しては、監督処分として指示することができます。

交渉預り金

[か行]

売買または賃貸借を目的とする不動産取引の誘引に際し、買主または借主が真面目な意図から出た取引の申込みであることを証明し、媒介交渉に迫力を与えるため媒介業者へ預託する金銭をいう。
売主または貸主が取引に同意すれば媒介業者から即時交付され契約締結時の手付金もしくは前払賃料に充当されるが、同意しなければ直ちに返還される。
原則として利子をつけない 。

更新拒絶等の正当事由

[か行]

借地権が消滅、または借地契約および借家契約の期間が満了して、賃貸人が契約の更新を拒絶するときに必要とされる社会的に妥当な事情をいう。
民法上、更新は自由であるが、借地借家法では、借地権の存続期間が満了する場合、借地権者が更新の請求をするか、満了後も土地の使用を継続するときに借地権設定者が意義を述べるときは、しずれも正当事由を必要とする。建物の賃貸借においても、賃貸人が更新拒絶通知をするときに、正当事由を必要とする。正当事由の要件は、賃貸人および賃借人がその土地のまたは建物を必要とする事情のほか、土地または建物の従前からの経過や利用状況等によって判断され、立退料の提案も考慮されるとしている。
しかし、借主の土地もしくは建物を必要とする事情も大きく考慮され、そのバランスを勘案して総合的に判断される。

更新料

[か行]

契約で定めた期間が満了した後、さらに一定期間同一の契約を続けるのに際して、当事者の一方から相手方に支払われる金銭のことです。
一般には、賃貸借契約の期間更新に際して借主から貸主に対して支払われるものを指します。
家賃の1〜2ヶ月分、借地権価格の5〜10%程度が更新料とされることが多いです。借家法、借地法は借家人・借家人保護を図り、家主・地主の更新拒絶を制限し、契約が更新されることを原則としていることから、借家人・借地人は更新料を支払わなくても契約を更新することが可能です。
賃貸借契約締結の際、更新料の支払が特約されていた場合でも、賃借人はその更新料を支払わなくても契約を更新することができると解されています。また、更新料支払義務の不履行を理由として、賃貸借契約を解除することも原則として許されないとされています。しかし、更新の可否に関する紛争を回避し、賃貸人と賃借人との継続的契約関係を円満に行なう目的で、両者の合意によって、更新料の支払が行なわれることがあります。