不動産用語

買戻しの特約

[か行]

不動産の売買契約と同時に、一定期間経過後売主が代金と契約の費用を返還して不動産を取り戻すことができることを内容とする契約解除の特約をいう(民法579条)。
特別の合意のない限り、買戻期間中の不動産の果実と代金の利息とは相殺したものとみなされる(同法579条但書)。買戻しの期間は10年を超えることができず、10年を超える期間を定めたときは、その期間は10年とされ、その期間の更新は認められない。
また、期間の定めをしなかったときはその期間は5年とされる(同法580条)。買戻しの特約の登記は、買主の権利取得の登記に附記して登記することとされており(不動産登記法59条の2)、この登記をしておけば第三者にも対抗できる(民法581条)。
買戻しの特約は担保の一方法であるが、この目的で利用されることは少ない。住宅・都市整備公団等公的事業主が分譲した住宅・宅地等においては、転売防止などを担保するために利用される。再売買の予約は登記をせず、動産もその対象とされ、また再売買代金にも制限がない点で買戻しと異なる。

解約

[か行]

当事者の一方の意思表示により、賃貸借、雇用、委任、組合などの継続的契約関係を消滅させることをいう。
契約の解除の場合、その効力が過去に遡るのに対して、解約は将来に向かってのみ消滅の効力が生ずるとされているが、民法上は解約と解除が混同して使用されており、明確な規定はない(民法541条、620条、625条3項等)。
結局、売買、贈与契約等の非継続的契約関係の解約または解除はその効力が過去に遡るのに対して、賃貸借、雇用、委任、組合などの継続的契約に関する解約または解除は将来に向かってのみ消滅の効力が生ずるということであろう。

解約手付

[か行]

いったん締結した売買契約を、後に解除しうることとして授受される手付をいう。
一般にその金額についての制限などはないが、宅建業者が宅地建物の売主の場合には、20%を超えることはできない(宅建業法39条)。
解約手付が授受されると、買主からはそれを放棄すれば、また売主からはその倍額を返しさえすれば、契約を解除することができる(民法557条1項)。ただし、相手が契約で定められたことを始めるなど履行に着手すると、手付解除は認められない。解除の方法などは一般の場合と同様であるが、手付額、または倍額のほかに損害賠償を請求することはできない(同条2項)。手付には、このほか証約手付、違約手付がある。

替地(かえち)

[か行]

市街地再開発等の都市計画事業、開発行為、ビル建設事業、公共工事(道路の拡幅、新設工事、ダム建設工事等)等を施行する際に、当該事業施行対象区域内の土地の所有者等が土地買収に応じない場合、土地取得手法の変形として事業施行者が土地所有者等に提供する同種類の代替製のある土地をいう。
土地所有者等にとって税務対策上有利な場合があり、事業者にとっても前面買収に代わる土地調達方法として利用されることが多い。
取引は、相互売買方式、交換・差額清算方式、代替地造成方式等が用いられ、開発行為では造成換地を併用することがある。なお、公共工事に伴う土地買収に関し、宅地建物取引業協会と建設省が協定を締結している。

価格形成要因

[か行]

不動産の効用、相対的稀少性および不動産に対する有効需要の三者に影響を与える要因のこと。
不動産の価格は多数の要因の相互作用によって形成され、要因自体も常に変動過程にある。
従って不動産の価格を判定する時はその価格を形成する要因を明確に把握し、その移動推移や諸要因間の相互関係を十分分析し、効用・稀少性・有効需要に与える影響を判定する必要がある。
なお、価格形成要因は一般的要因(社会的・経済的・行政的)と個別的要因(土地の個別性・建物の個別性・土地建物の個別性)とに分類して検討される。

価格査定

[か行]

宅建業者が売却の媒介依頼を受けた不動産に関し、専門家の立場から依頼者へ助言する合理的希望価格の形成のための成約見込価格を調査・算出することをいう。
業者は売買すべき価額について依頼者に意見を述べるときは必ず一定の標準的手法に従い、選択した取引事例を根拠として明示し、依頼を受けた不動産と比較検討して、客観性ある実際的な成約見込価格によらなければならない。
この手法が価格査定マニュアルである。要する費用は媒介の成功報酬に含まれる(宅建業法34条の2第2項)。宅建業者は、媒介の対象となる不動産の価額または評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。
この意見の根拠となるのが(財)不動産流通近代化センターが作成した価格査定マニュアルである。このマニュアルには住宅地、木造住宅および中古マンションがあり、立地、環境、築後年数、仕上げ、間取等の多くの評価項目によって査定することとなっている。これを用いることにより、業者によって意見価額が大きく異なったり、依頼者の不満を招く事態を防ぐことができる。