不動産用語

瑕疵担保責任についての特約の制限

[か行]

宅建業者が自ら売主となる宅地、または建物の売買契約においては、瑕疵担保責任についてこれを負う期間(民法570条において準用する同法566条3項に規定する期間)をその目的物の引渡しの日から2年以上とする場合を除き、民法に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならないとされている。
買主に不利な特約とは、瑕疵担保責任を負わないとするもの、これを負う期間を買主が知ったときより1年未満の期間とすることのほか、契約解除も損害賠償も認めず補修のみを行うとするもの、瑕疵の個所によっては責任を負わないとするもの等があげられる。宅建業法は、このような買主に不利な特約を制限するとともに、これに反した特約は無効としている(宅建業法40条)。

過失相殺

[か行]

損害賠償額を決定する際に、債権者に過失が会った場合は公平の見地からその過失を考慮することをいいます。
債務不履行の場合には、裁判所は必ず債権者の過失を斟酌しなければなりませんが、場合によれば債務者の責任を全免することもできます(民法418条)。不法行為の場合には、裁判所は被害者の過失を斟酌することはできません(民法722条の2)。不法行為の場合、被害者自信以外の者(監督義務者等)の過失も被害者側の過失として斟酌されることがあります。

瑕疵保証

[か行]

不動産取引における物件の瑕疵担保責任は売主にあるが、個人間の取引においては瑕疵担保責任の免責特約も可能であり、現実に売主の多くは、売買契約締結の際に瑕疵担保責任の免責特約を設けることを希望し、買主も当該物件に「まさか瑕疵があるとは夢にも思わない」ので契約に応じてしまうのであるが、実際に瑕疵が発見されると、媒介をした宅建業者のところにクレームが持ち込まれ、その処理に苦慮することとなる。
そのため宅建業者の中には、売買に係る物件の引渡しの日から期間を定め、その期間内までに買主が発見した雨漏り、シロアリ被害、構造木部腐食等の重要な瑕疵について、定めた金額を上限として、住宅性能の回復のための補修を行うことを内容とする保証を行う場合がある。この保証を瑕疵保証という。

果実

[か行]

元物(げんぶつ)から生ずる収益をいう。
元物の一般的な利用法に従って収取される産出物、例えば木の実、動物の子や卵などを天然果実、元物の使用の対価として受ける金銭その他の物、例えば地代、家賃、利息などを法定果実という。元物自体の権利関係が移動したとき、天然果実は、それが元物から分離するとき収取権を有する者(所有権者、賃借権者、地上権者等)が取得し、法定果実は、基礎となる権利の存続期間に応じて日割計算により分配される。ただし、売買で物の所有権が移転しても、代金の支払いと引渡しが終わらない間の果実は、売主に帰属する。

仮換地(かりかんち)

[か行]

土地区画整理事業の円滑な進捗と関係権利者の権利関係の速やかな安定を図るために、土地区画整理事業の施行者が、換地処分を行う前において、施行区域内の従前の宅地について仮に使用収益できる土地を指定する処分を仮換地の指定処分といい、このようにして指定された土地を仮換地という。
仮換地の指定処分がなされると、従前の宅地の権原に基づいて使用収益をすることができた者は、仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告がある日まで、仮換地について従前の宅地について有した権利の内容である使用収益と同じ内容の使用収益ができるが、従前の宅地については使用収益ができなくなる。

仮登記

[か行]

終局登記(本登記)をなしうるだけの実体法上、または手続法上の要件が完備していない場合に、将来の登記の順位を保全するため、あらかじめなす登記をいう(不動産登記法2条)。後日要件が完備して本登記がなされれば、仮登記の順位が当該本登記の順位になるという順位保全効力を有する(同法7条2項)が、仮登記のままでは対抗力はない。
このような仮登記の一時的・仮定的性格に鑑み、実務上仮登記申請の際には登記済証、利害関係人の承諾書の添付は必要とされず、さらに法律上仮登記権利者が単独で、仮登記義務者の承諾書を添付してする方法(同法32条)や仮登記仮処分命令によってする方法(同条33条)等、仮登記申請の特則が設けられている。