不動産用語

地上権

[た行]

他人の土地において、工作物または竹木を所有するため、その土地を使用する物権をいう(民法265条以下)。
契約によって設定されるのが原則である。建物所有を目的とする地上権は、借地権として借地借家法の保護を受ける。
地上権はその譲渡・転貸が自由であること等、賃貸借と比較して借地権設定者に不利益なため、わが国では土地利用契約のほとんどが賃貸借契約であるといわれている。
地上権はたとえば地下鉄または高架線等のため、地下または空間にも設定することができる(同法269条の2)。
このような権利は「区分地上権」(いわゆる地下権・地中権)と呼ばれている。

地目

[た行]

土地の現況および利用状況による区分をいい、不動産登記法施行令3条によれば、土地の主たる用途により、田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園、雑種地の21種類に区分されている。
不動産取引に当たっては、田・畑など地目によっては権利の移転等に制限がある場合があり、また登記簿上の地目と土地の現実の利用状況が一致していない場合もあることに、留意する必要がある。

賃貸借

[た行]

甲が乙に目的物を使用収益させ、乙が甲に賃料を支払う契約をいう(民法601条)。
民法は、貸衣裳やレンタカーなどのような動産の賃貸借と土地建物のそれとの区別をほとんど考えないで規定したが、建物所有を目的とする土地の賃貸借では、長期の契約期間を必要とするので、借地借家法3条は存続期間を30年以上と定めた。
また、民法上は、土地または建物の賃借権は、それを登記しない第三者に対抗することができないが、借地借家法10条1項は、借地上の建物の保存登記をすれば借地権を、同法31条1項は、建物の引渡しがあれば、借家権を第三者に対抗することができるものとした。

つなぎ融資

[た行]

不動産を取得しようとする者が、公的融資や自己所有不動産の売却代金を受領する以前に、工事代金や購入代金にあてるため受ける融資のことをいう。
特に買換えの場合、手元流動資産や余裕資金の乏しい買主が無理な買換えを目論んだものの、所有不動産の売却に手間取って、金利に追われることがある。

定期借地権

[た行]

平成4年8月1日より施行された借地借家法で新たに創設された制度。
更新がなく、定められた契約期間で確定的に借地関係が終了する。
従前の借地法では、存続期間が満了しても借地権が消滅するわけではなく、正当事由が必要であった。その結果、借地権を設定することが躊躇され、設定する場合においては、高い権利金等の支払いが生じていた。そこで、借地借家法は、借地法の大原則である「存続期間が満了しても借地権は当然には消滅しない」という仕組みに対して、一定の場合には例外を認める、つまり一定の範囲で、更新のない借地権を認めることとし、新たに以下の3つの類型の定期借地権を創設した。
(1)存続期間を50年以上と定めることを要件とする「一般定期借地権」(同法22条)
(2)借地権を設定した日から30年以上を経過した日に借地上の建物を借地人から地主に譲渡することをあらかじめ約束して借地をする「建物譲渡特約付借地権」(同法23条)
(3)事業目的で存続期間を10年から20年以下とする「事業用借地権」(同法24条)
この定期借地権制度が利用されることによって土地を貸しやすく借りやすくなり、借地の新規供給、利用の幅が広がることが期待されている。

停止条件

[た行]

将来発生することが不確実な事実を契約等の効力の発生要件とする場合の不確定な事実をいう。
例えば「うまく入社できたらこの家を安く売買する」というような契約をしたときは、入社することが停止条件であり、このような契約を停止条件付売買契約という。
入社できたことを条件の成就といい、そのとき売買契約の効力を生ずる(民法127条1項)。停止条件に対するものを解除条件と呼び、解除条件付売買契約では、反対に、契約のとき売買の効力を生じ、入社できなかったときは、解除条件が成就し契約の効力が失われる(同条2項)。いずれの条件が付されていても、条件の成否未定の間は、条件成就によって生ずる利益は保護される(同法128条、130条)。