不動産用語

公示の原則・公信の原則

[か行]

ともに物権に関する基本原則であり、物権の変動は常に外部から認識できるよう一定の表象がなされねばならぬというのが公示の原則、その外形的表象を信頼して取引した者は、たとえ表象が真実と一致しない場合でも、その表象どおりの権利を認められるというのが公信の原則である。
公示方法は不動産では登記、動産では占有であり、物権の得喪変更を第三者に対抗するためには、不動産は登記、動産は引き渡しを必要とする。ただし不動産でも農地、建物、の賃借権は引き渡しを、動産でも航空機、自動車などは登録を公示方法とする。公信の原則は動産についてだけ適用され、不動産には適用がない。

公図

[か行]

不動産登記法17条により備えられる地図のことです。
現在、法務局等に備置されえている地図には、旧土地台帳法施行細則にもとづき、登記所に備置されていた土地台帳付属地図と精度の高い地籍図、所在図およびいわゆる17条地図があります。この17条地図は作成途中で、未完成です。一般にはこの17条地図も含めて公図と呼んでいます。

公正証書

[か行]

通常は、公証人が法律行為その他の私権に関する事実について作成した証書を指します。
公正証書は強い証拠力(証明力)が認められ、これに執行認諾約款が記されると、執行力も生じます。ですので、遺言状や契約書などをこの形式にしておくと、将来の紛争を予防することや、紛争が生じたときに迅速に解決できます。作成を希望する場合は、実印と印鑑証明を持参して公証人役場で手続をします。

債務不履行(さいむふりこう)

[さ行]

債務者が、その責めに帰すべき事由(故意、過失)によって、債務の本旨に従った履行をしないことをいう(民法415条)。
履行期に遅れた履行遅滞、履行することができなくなった履行不能、および履行はしたが十分でなかった不完全履行の3つの態様がある。
履行遅滞と不完全履行で、まだ履行の余地のある場合には、裁判、執行によって債務自体の履行の強制もできるが、債権者はこれとともに損害賠償の請求もできる(同条前段)。
履行不能または不完全履行で、もはや履行の余地がない場合には、これに代わる損害賠償請求ができる(同条後段)。また双務契約などの場合には、債権者は契約を解除して自己の債務を免れ、もしくは原状回復を図ることができる。

敷金

[さ行]

主として建物の賃借人が、賃料その他賃貸借契約上の債務を担保するため賃貸人に交付する金銭をいう(民法316条、619条2項参照)。
このほか権利金、保証金等も授受されることがあり、その性格および内容は当事者の合意によることになるが、敷金は契約が終了して、建物等を明け渡した後に、未払賃料等があればこれを控除したうえで返還される点に特徴がある。
賃借人は契約継続中に、敷金によって不払賃料に充当させることはできない。
敷金返還請求権は建物等を明け渡したときに発生するから、賃借人の建物等の明渡しと同時履行の関係にない。また敷金には利息を付さないのが普通であり、建物等の所有権(賃貸人の地位)が移転したときは、新所有者に引き継がれる。

私道負担

[さ行]

不動産取引において、売買等の対象となる土地の一部に私道の敷地が含まれている場合に、この私道敷地部分を私道負担という。
私道には建基法42条の道路となる私道以外にも、通行地役権の目的となっているようなものを含む。また私道について所有権や共有持分を持たずに、利用するための負担金を支払うことになっている場合や将来生じることになっている私道負担も私道に関する負担に含まれる。宅建業法35条に規定する重要事項の説明では、宅建業者に対して、取引の際には前もって「私道に関する負担に関する事項」を説明することが義務付けられている。これは、私道負担のあることを知らないで取引をした購入者に対して、損害を与えないよう、あらかじめ私道の負担の内容を説明する義務を課したものである。