不動産用語

停止条件

[た行]

将来発生することが不確実な事実を契約等の効力の発生要件とする場合の不確定な事実をいう。
例えば「うまく入社できたらこの家を安く売買する」というような契約をしたときは、入社することが停止条件であり、このような契約を停止条件付売買契約という。
入社できたことを条件の成就といい、そのとき売買契約の効力を生ずる(民法127条1項)。停止条件に対するものを解除条件と呼び、解除条件付売買契約では、反対に、契約のとき売買の効力を生じ、入社できなかったときは、解除条件が成就し契約の効力が失われる(同条2項)。いずれの条件が付されていても、条件の成否未定の間は、条件成就によって生ずる利益は保護される(同法128条、130条)。

抵当権

[た行]

債務者または第三者(物上保証人)に用益させたままで、債務の担保として提供した不動産等について、優先弁済を受ける担保物権をいう(民法369条以下)。
優先弁済は、通常民事執行法に従い換価(任意競売)によるが、破産の場合は別除権(破産法92条以下)、会社更生では更生担保権(会社更生法123条等)によって行う。
抵当権者は目的物の交換価値だけを確保し、設定者に使用収益権を留保することから、生産財について最も合理的な担保とされ、不動産に限らず、特別法により、鉄道財団(鉄道抵当法)、工場財団(工場抵当法)、航空機(航空機抵当法)、船舶(商法848条以下)、自動車(自動車抵当法)、建設機械(建設機械抵当法)等を対象とする抵当権もある。

手付

[た行]

売買、賃貸借等の契約に際し、当事者の一方から相手方に対して交付される金銭その他の有価物をいう。
手付には、契約の成立を証する証約手付、手付を交付した者はそれを放棄し、相手方はその倍額を償還して契約を解除することを認める解約手付、手付額を債務不履行の場合の損害賠償額の予定または違約罰とする違約手付がある。
どの手付であるかは当事者の意思によって決められるが、いずれの場合にも、証約手付の意味がある。
民法は、当事者の意思が不明のときは、解約手付と解することとしている(民法557条)。
宅建業者が売主として受け取る手付は解約手付である(宅建業法39条2項)。
なお、契約の際内金と表示されても解約手付と解されることがある。
手付金は、契約が約定どおり履行されるときは、一部弁済として取り扱われることとなる。

電車・バス等の所用時間

[た行]

不動産の表示規約では、電車・バス等の所要時間の表示基準を定め(同規約12条7号)、
(1)乗換えを要するときはその旨、
(2)特急・急行等の種類、
(3)特急料金等の特別料金を要するときはその旨、
(4)ラッシュアワーと平常時の所要時間が著しく異なるときはその旨、
(5)運行本数が著しく少ないときはその旨を明示することを義務づけている。

所要時間はダイヤグラムに従い表示するが、乗換え時間や待ち時間は含まれない。
なお、通勤時間帯に運行されていない特急列車等による所要時間だけの表示は許されない。

登記の公信力

[た行]

登記上の表示を信頼して不動産の取引をした者は、たとえ登記名義人が真実の権利者でないような場合でも、一定の要件のもとでその権利を取得することが認められることをいう。
わが国では、登記の公信力を認めない。したがって、いくら登記名義人が真実の所有者と思って、その者から不動産を買い受けたとしても、真の所有者からはそれを取り上げられることになるので、不動産の取引では、登記簿を閲覧するだけでは不十分ということになる。

これに対して、動産では占有に公信力が認められるから、売主の所有と信じた買主は、そう信じるについて過失がなければ、真の所有者がほかにあっても、その動産の所有者となることができる(民法192条)。

登記簿

[た行]

私法上の権利の得喪・変更など関係事実の存在を公示かつ保護するため、一定の事項を記載した公の帳簿をいい、不動産登記簿、船舶登記簿、商業登記簿がある。